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漫画「有害都市」ネタバレ感想 筒井哲也

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筒井哲也先生の漫画「有害都市」は、2020年、東京オリンピック前に国による大規模な表現規制「浄化作戦」が行われ、いかがわしいと判定されたものは無条件に撤去・排除されてしまう世界を描いています。

表現の自由が奪われつつある世界で、主人公の漫画家が人喰いホラー作品「DARK・WALKER」の連載に挑みますが・・・リアルでも「食屍病」が広がり規制と戦うことに。

「有害都市」ネタバレ

「食屍病」の拡大

異変が起きたのは、何気ない交通事故が始まりでした。夜中の人気のない交差点でバイクが横転し、男性が動かなくなっているという通報があったのです。

しかし、男性は単に事故死していたわけではありませんでした。体は凶暴な肉食獣に食い千切られたかのように損傷が激しく、内臓もあたりに散乱していました。動物に襲われたのだろう、と誰もが思いましたが鑑識の結果でそれは「人間」による犯行だと判明します。

容疑者はごく普通に働いている警備員の男で、真面目でおとなしく、事件の翌朝も普通どおりに出勤していました。そして第二の同様の犯罪が別人の手によって行われ、異常者の犯罪と片付けるわけにはいかなくなります。

ネット上で広がる噂では「食屍病」、夜になると人の屍肉を食らう衝動にかられる恐ろしい伝染病が拡散しているのでは、とまことしやかにささやかれていました。感染者は屍肉を食らったあと、何もなかったかのほうに社会生活に復帰するというのです。

漫画家がグロホラーに挑む

漫画家・日比野幹雄は編集者の比嘉と会い、つぎの連載の構想とネームを見てもらっていました。

「DARK・WALKER」と名付けられ、「食屍病」を題材にしたその作品は、主人公は製薬会社の投薬によりウイルスに対する強い耐性があったことで生き延び、理性を失った感染者であふれる街をヒロインとともにサバイバルする、という設定です。

ただ、規制で引っかかるかもしれないから、感染者は生きた人間ではなくゾンビにしておこう、と比嘉に言われます。なかなかいいじゃないか、という編集者の反応に気をよくしながら、幹雄は帰り道にオリンピックを前にした「東京都浄化推進運動委員会」による表現規制と、力づくでの排除を目にします。

「有害指定」されてしまったものは、排除されてしまう。幹雄は何かゾッとするものを感じていました。

感想・リアルでも進む表現規制の世界

「浄化作戦」という名目でありとあらゆる創作物から「いかがわしいもの」を目に触れさせないように有害指定してしまう世界ーー滑稽なように見えますが、現実に起こりつつあることでもあります。

この漫画が訴えかけていることはいわゆる「有識者」たちが偏見によって不当といえる表現規制を行うことへの警鐘です。行き過ぎた道徳観の押し付け、とでも言うのでしょうか。

窮屈な世界、滅菌消毒された創作物しか読めなくなる乾いた世界で自由を求めようとするクリエイターは容赦なき「焚書坑儒」で叩きのめされてしまいます。現実でも「検閲」は行われており、現実とのリンクがハンパない作品です。近未来のディストピア、決して絵空事ではないのです。

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