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トトの世界 ネタバレ感想 さそうあきら

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さそうあきら先生の漫画「トトの世界」は、生まれてからずっと犬たちと閉じ込められて「犬男」になってしまった少年・トトが「言葉の世界で地獄を見ろ」と放り出された世界で、言葉を獲得していくお話です。

トトの世界のネタバレ

昔、犬を飼っていて犬が好きだった真琴は、近所の犬に餌をやろうとして、人間の顔がニュッと出てきて驚きます。犬そのものの動作に、真琴はそれを「犬男」と呼びます。

古ぼけた民家には、猟奇殺人犯として警察に追われていた田野井が潜伏しており、そして田野井は生まれたばかりの赤ん坊を犬たちと一緒に幽閉して、人間としてではなく獣として育てていたのです。

とうとう警察が田野井を追い詰めて家を包囲し、田野井は15年間閉じ込めてきた少年を「言葉の世界で地獄を見ろ」と外に放り出します。田野井は捕まりますが、少年は逃げ出し、犬と一緒にさまよいます。

真琴に拾われた犬男

真琴は犬男の澄んだ目がどうしても気になっていました。まるで生まれたばかりの赤子のような、純粋な瞳。犬男は餌をくれた真琴の匂いを覚えていて自宅までやってきて、警察に追われていた彼を真琴は家の中にいれて保護します。

テレビでは事件が大騒ぎになり、御用学者たちは「少年を一刻も早く保護して、人間になるための教育を受けさせるべき」と言います。真琴はマスコミにグシャグシャにされたり、実験に使われてひどい目にあわされると考えて犬男のことは家族と友達以外には黙っていることにします。

言葉と邂逅するトト

犬男を「トト」と名付け、お風呂に入れたり、トイレのしつけをしようとする真琴でしたが、言葉を知らないトトは何をされているのかすらわかりません。それでも、真琴は昔飼っていた犬に愛情を注いだように、トトにやさしく接して少しずつ言葉を覚えさせようとします。

水を飲ませて「ミズ、これはミズ、だよ」と。初めて聞く「言葉」に、トトは少しずつ反応するようになり、そして「人間」の表情を取り戻していきます。動物はこんな笑顔をしない・・・トトを見て、真琴たちは彼が犬ではなく人に戻れると確信します。

不気味なのにあたたかい世界観

さそうあきら先生の独特な世界観に満ちた作品で、猟奇犯による人肉食や、動物のように育てられて言葉すら得られなかった少年など、本来は不気味なテーマのお話です。

けれども、主人公たちを取り囲む人間関係やあたたかさ、そして何より人の世界を知らないトトという少年の視点を通して「言葉」とは何なのか、そして生きる意味というものが奇妙に優しく感じられて最後まで心に残ります。

言葉のない世界で育ったトトが、言葉の洪水であふれる世界で何を獲得するのか。その心の深淵をのぞくことができるお話でした。

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