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千年万年りんごの子 ネタバレ感想  田中相

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田中相先生の漫画「千年万年りんごの子」は、雪深いりんごの村に婿入りした男性が「村の禁忌」を破ってしまったことにより妻を失ってしまうお話です。不思議な言い伝えに神隠し、りんごの木に住む神とは?

「千年万年りんごの子」のネタバレ

雪之丞は両親の実子ではなく、雪の日に拾われた捨て子でした。大学を出てりんご農家の娘と見合いをして婿入りすることになります。相手の女性は朝日と言って、実家のりんご農家を継ぐために婿が欲しくて、雪之丞は早く家を出たいというのもあり、承諾します。

あっという間に祝言をしてりんごの摘芯作業を手伝う雪之丞は、農家の大変さを知ります。最初はなつかなかった家の子供らも、いつの間にか猫のようにひっついてくるように。

やがて季節はめぐり、雪が降るようになると朝日が風邪をひいて熱を出して寝込んでしまいます。りんごの配達で雪之丞が車で外出すると、途中でまだ綺麗なりんごの実をつけている大きな木を見つけ、朝日に食べさせようともいでしまいました。

りんごをすって朝日に食べさせたあと、家族たちに「黒森のりんごをとった」という話をしたとたん、みんなの空気が変わります。「あれはおぼすな様の木。なんぴともあのりんごをとってはならね」と、村の禁忌に触れてしまったと、凍りつきます。

朝日に食べさせてしまった、と言うと他の村人には絶対に口外するな、と口止めされて雪之丞は村の風習を調べ始めます。おぼすなさまに祝福をもらう、りんごを食うたら福がくる、福が来たならひかれてく、という謎の言葉にゾクリとするものを感じる雪之丞。

熱が引いた朝日は、不思議なことに髪と爪が伸び、朝日の父親は「朝日はおぼすな様の嫁っこさなった」と雪之丞はすでに朝日の夫ではない、と告げます。そして日に日に朝日の体は縮んでいき、子供の姿に変わっていき・・・

感想

古い因習や言い伝えが残る村に、何もしらない男性が婿入りし、禁忌を破ったために妻を奪われるーーという不思議なお話。「りんご」というのは何か昔から禁忌の象徴のようなものですよね。

とってはいけないりんごをとって食べたために、嫁ぎ先から離縁されてしまう雪之丞でしたが、朝日をあきらめることなどできずに彼女を連れて村から逃げようとします。

ふと思ったのは婿入りしたときになんで「あのりんごの木からりんごをとって食べてはならない」という禁忌を初めから雪之丞に教えなかったのか、ということです。教えていれば、こんなことにはならなかったわけですが朝日は結局、「神の嫁」にさせられます。

そして人ならぬ身になったからこそ、過去の因縁を断ち切る力が得られて村に続く辛い因習を終わりにすることができましたが、おぼすな様の呪いを断ち切るために雪之丞と朝日の幸せが犠牲になったのが、悲しくも美しいと感じる物語でした。

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