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親なるもの断崖 特装版ネタバレ 曽根富美子 遊郭に売られた娘

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「この漫画、しょっちゅう広告で見て気になった」で購入した人も多数いると思います。「たった25円で売られた幼なじみ」「遊郭に売られたわたしは、地獄の中で生きるしかなかった」

こんな扇情的なコピーと、印象的な女郎として遊郭で生きる娘たちの絵を見たら、一体どんな内容の漫画なのか気にならないわけがないですよね。

一躍、絶版本から大人気になった電子コミック「親なるもの断崖」、現在、特装版も発売されており今まで公開されていなかったエピソードも入っていてお得です。

親なるもの断崖のあらすじ

昭和初期の、北海道室蘭にかつて実在していた幕西遊郭。そこに、4人の少女たちが東北から女衒に売られてきて、女郎としての地獄がはじまります。

松恵16歳、その妹梅11歳、武子13歳、道子11歳。一番年上の松恵は到着したその日に客をとらされ、耐え切れず首を吊りました。妹の梅は姉の分まで生きようと、幼くして自ら女郎となることを望み・・・。

親なるもの断崖の感想

現代では考えられませんが、この漫画の時代では「女性はモノ」でした。価値のある商品であり、貧しい子沢山の農村では、生まれたときから「女郎にするために」育てることもめずらしくない。武子も、そうした娘のひとりでした。

貧困は悪なのだろうか、と読み終えたあと、胸に大きなわだかまりが残ります。貧しさから逃れるためとはいえ、家族が娘を売る。そして売られた娘は、遊郭で人間扱いされず、ひたすら性の道具にされてしまうのです。

女郎、あるいは芸妓になるしかない。そして美貌がなかった道子は「おまえみたいなまずい顔」と、女郎としての価値すらなく、食べ物も与えられず栄養失調で病気になります。

幕西遊郭の芸妓は「芸は売っても身は売らず」とはいえ、真冬に喉を枯らして涙を流しながら唄い続ける武子の姿が描かれ、その修業の厳しさがわかりました。

梅は姉の死を受け止め、半玉であるにもかかわらず番頭の直吉に女郎となることを願い、一晩に十人以上も客をとる幕西遊郭一番の人気女郎になります。

北海道に遊郭があり、このような生活をしていた女性たちがいたことを知りませんでした。「親なるもの断崖」という漫画を知って、開拓の歴史の業を目のあたりにした思いです。

親なるもの断崖の考察

たとえ、時代に虐げられる人生を送っていても、女性は輝けるものだーー「親なるもの断崖」が読者に対して訴えかけているのは、女性の強さと美しさ。新たな時代を生みだすのは、女性なのだということ。

梅という女郎の存在は、言わば北海道開拓時代の人柱です。「あれはなにもかも、わかっている目だわ」と先輩女郎たちから、悟りきった目をした梅。身を売りながら蔑まれる女郎という仕事をこなしながら、生意気な口をきいた下働きの娘にこう言います。

「おまえもいずれはここで、男を知る、世の中を知る。どろどろした苦界に頭の先まですっぽり埋まるのよ」

開拓におけるタコ部屋労働者、そして彼らの負のエネルギーを昇華するために選ばれた、生贄。好いた男ができても、女郎として一度苦界に足を踏み入れたからには逃れられないと、悟りきっていたのです。

道子もまた、時代に翻弄された哀れな存在ですが、梅がうらやましくて仕方なく、女郎になるために自ら「地獄穴」という最低の遊郭へ売られていき・・・救いがあるとすれば、彼女自身が男の相手をすることで喜びを得られていたことです。

地獄のような生活の中でも、幸せは人それぞれ。闇の中に光を見いだせる強さをもった女性たちの生き様。それが「親なるもの断崖」でした。

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