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「私の少年」1巻 第一話 体温計のネタバレ感想 高野ひと深

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高野ひと深先生の注目作「私の少年」の1巻 第一話「体温計」のネタバレと感想です。12歳の美しい少年・早見真修と、アラサーOL・多和田聡子は、お互いを「必要なもの」と感じていきます。

「私の少年・1巻 第一話体温計」のネタバレ

早見真修との出会い

多和田聡子の朝は、体温計の音から始まる。なんの意味もない習慣にしがみつき、いつもどおりに会社に出社し、大学時代のフットサルチームで付き合っていた元カレの椎川主任にいじられる。椎川とは、交際1年で破局。「別れよか」と言ったのは椎川で、合宿のノリでつきあっただけだったから未練もない。

椎川はまるで過去のことがなかったみたいに「聡子」となれなれしく呼んで、名前で呼ぶのをやめてと言ってもやめてくれない。さっさと退社して、公園で一息ついていた聡子は、朝に見かけたサッカー少年が練習しているのを見て、下手っぴで見ていられずにボールコントロールのコツを教える。

少年の顔を見て、「美少女!?」と驚く聡子。中性的な美しい顔立ちだが、真修は「僕、男です」と答える。夏合宿前のレギュラーテストのために練習している、という。あくる日の夜、ニュースで変質者が出没しているという情報を知った聡子は、公園で男に連れ去られそうになっていた真修を助ける。

母親のふりをして男を追い払った聡子は、真修に危ないから「夜遅くに練習しちゃだめ」というが、どうしても練習しないといけないという彼のために、夜のリフティング練習につきあってあげると申し出る。

椎川の婚約者に動揺する聡子

会社帰りに何度も飲みに行こう、と誘ってくる椎川をかわそうとした聡子だったが、「フモーじゃなければいいの?」と真剣な顔をした椎川に、ついOKしてしまう。翌朝、聡子の身なりを見て「いつもと違うとこ、あるかなーって探していた」と、椎川のためにおしゃれをしていないかと妙な揺さぶりをかけてくる。

あれが奴のいつもの手だ、と椎川をなるたけ意識しないようにしていた聡子だったが、和食料理店で待っていたのは椎川とその婚約者・夏海だった。薬指にある指輪を見て、予想外の出来事に心がグラグラする聡子は笑顔を作ろうとして失敗する。

ひょっとして・・・と期待しかけていたものが崩れ、椎川がとっくに新しい出会いを見つけて結婚しようとしていたことを知ってショックを受ける。

真修の前で泣き出す聡子

呆然とした帰り道、聡子はつい公園に向かう。そこには真修がいて、テストに落ちたからサッカーをやめなくてはいけない、とうつむく。

聡子はまだ小学生なんだからこれからじゃない、と慰めるが、真修は小学生のうちにレギュラーになれないなら向いていないと思ってあきらめたほうがいい、だからもう辞めます、と親に言い聞かされた言葉を繰り返す。

真修の言動から聡子は、彼が両親に世話をされていないことを見抜きます。汚れた服を着てお風呂に入っていなかった真修を部屋に連れ帰り、お風呂に入らせます。うとうとしてしまった聡子は、寝ぼけてつい椎川との初めての出会いを思い出して、真修の前で泣き出してしまう。

そんな聡子をお母さんが悲しいときにこうするんだと、抱きしめて胸の音を聞かせる真修。そんな真修に聡子はサッカーを続けたのは自分だから、終わらせるのもあなたでいいのよ、と真修に親の命令ではなく自分で決めればいいのだと言い、真修もまたやめたくない、と泣き崩れる。

「私の少年・1巻 第一話体温計」の感想

立場も年も違うのに、慰め合うことができるふたり。本来は知り合うはずもない二人だったのに、出会ってしまったことでお互いを必要としていきます。

椎川は何を考えているのかわからない男で、聡子のことをどうしたいのかがまだ見えてきません。婚約者がいて紹介した、というからには聡子のことは「過去」になっているはずですが、それにしては聡子に妙にこだわっているところも見られます。

聡子は聡子で、椎川への「好き」という気持ちよりも、自分だけが過去にこだわって取り残されているような焦燥感を抱えており、周囲がどんどん変わっていくことについていけないでいます。

しっかりもののように見えて、聡子にはもろいところもあり、「子供のままの自分」をどこかに隠したままでいるように見えます。だからこそ、真修のピュアさに無意識のうちに惹かれているのかもしれません。

「私の少年・1巻 第一話体温計」の考察

真修と過ごした朝、聡子は習慣である「体温計」の音を鳴らす必要がありませんでした。代わりに聞いていたのは真修が廊下を歩く小さな足音だけで、「静かな朝」だったのです。

これはつまりは、一種の精神安定剤として利用していた「体温計の音」から、真修の存在が聡子の心を安定させる存在に変化した、と言えるのではないでしょうか。今後、聡子の中で真修の存在が大きくなっていくことを示しています。

この1話は『漫画史上、最も美しい1話』と言われているように、質のいい小説の短編を読んだような読後感がありました。

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