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聲の形(こえのかたち)ネタバレ 大今良時

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大今良時先生の漫画「聲の形(こえのかたち)」は、耳の聞こえない転校生の少女と、退屈を恐れる少年との出会いを描いたお話です。

障害を持つ西宮硝子が気になる石田将也は、彼女をからかっていじめるようになりますが・・・。

「聲の形(こえのかたち)」ネタバレ

退屈が怖いワルガキ

石田将也が小学校6年生のとき、ワルガキで「人生は退屈との戦い」だと思っていた。学校の授業にも興味はなく、女子も遊べなくてつまんない。一番知りたいのは、どうすれば退屈ではなくなるのか、ということ。

退屈を紛らわすために、度胸試しと称して危ないことばかりにチャレンジする。橋の上から川に飛び込んでみたり、体格のいい同級生に喧嘩をいどんだり。毎日バカをやって退屈に打ち勝っていたはずなのに、いつの間にか仲間たちのほうが大人になっていって「もうやめる」と言ってつきあってくれなくなる。

聴覚障害の転校生

もう退屈に負けてしまいそうだ、と腐りそうだったときにやってきたのが転校生の西宮硝子。彼女はみんなの前で一言も話さず、「耳が聞こえません」と書いたノートを見せます。そして将也の前の席に座ります。

将也はがぜん、彼女に興味を持ちだしてちょっかいをかけます。大声で「わっ」と耳元で言って本当に聞こえないのか試してみたり、声の出し方を真似して馬鹿にしたりと、耳が聞こえないことをからかいます。担任の先生はその都度、将也を呼び出して「西宮が珍しいからと言って障害をからかってはいけない」と叱られますが、将也にはやめる気など毛頭ありません。

始まるいじめ

将也は積極的に彼女ををいじめていましたが、クラスメイトたちもまた彼女を少し持て余していました。先生がクラスに戻るぞ、というのが聞こえない彼女を置いていってしまい、きちんと親切にしなかったということで怒られてしまったり。いちいち、先生の指示をノートに書き起こす手間が増えたり、授業が遅れてしまったり、合唱コンクールで失敗したり、と何かと足を引っ張られてしまうからです。

彼女のために「手話を覚える」と言った生徒を「ポイント稼ぎ」と言ってのけ者にして、不登校になってしまう子もいました。将也はそんなクラスの日常が乱されるのを見て、ますます硝子をいじめます。

硝子をいじめた将也がいじめられる

補聴器を何度もなくされて、とうとう校長先生から「総額170万円」の被害額だ、といじめた人は誰かと問われます。担任は「おまえだろ、石田!」と将也を名指しし、クラスメイトたちも将也が悪いとやり玉にあげはじめます。

将也はおまえたちだって一緒に笑っていたくせに、なぜ俺だけが悪いんだと抗議しますが、その日からクラスメイトたちが将也を無視して、落書きをしたりと激しいいじめを始めます。将也の母親は補聴器の賠償金を硝子の母親に渡して謝って泣きます。

友達がひとりもいなくなり、いじめられていると先生に訴えてもそれはおまえがやったことの報いだ、と冷たい先生。全部、西宮硝子のせいだ、あいつが大嫌いだ、と責任転嫁する将也。けれど、卒業前に彼女は転校してしまいます。

彼女のことを忘れられないまま、高校生になった将也は硝子と再会しますが・・・。

「聲の形(こえのかたち)」感想

耳が聞こえない少女を、いたずら心からいじめて傷つけてしまう主人公の後悔から始まる物語。将也は子供で、クラスのお荷物になっている、みんなとは違う変わった子である西宮硝子に対して誰よりも興味をもちながらも、それを表現する手段は「いじめ」しかなかった。

クラスメイトたちは一見、彼女に親切にしているように見えて、心のなかでは「邪魔者」とたしかに思っており、ノートに書いた悪口は将也のものだけではなく、ほかのクラスメイトたちの言葉で埋まっていた。

将也のように積極的ないじめはしていなくても、潜在的にいじめには加担していたのに、いざいじめが露見して大人から責められるとすべてを将也のせいにして逃げた、という経緯があります。

少なくとも将也には、自分が彼女をいじめたクズである、という認識をもっていました。ほかのクラスメイトたちには罪悪感すらなく、むしろ彼女に親切にしていたと記憶を書き換えていたのでしょう。

障害を持っている子に親切にしなければならない、いじめるなんてとんでもないことだ、と表面では思っていても本心では違う。結果として誰も西宮硝子に「ホンネ」で接する人間がいなかったのです。将也をのぞいては・・・。

だからこそ、硝子は将也に対して、いじめられていたにもかかわらず好意を抱いてしまったのかもしれません。登場人物たちのさまざまな「こえのかたち」が表現されており、ラストでは「いじめられた子といじめっ子の和解エンド」というわかりやすいものではありません。

ままならない現実のように、そこにある形にならない思いを汲みとっていくような物語でした。

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