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「児童福祉司 一貫田逸子」(さかたのり子・穂実あゆこ)のネタバレ

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児童虐待をテーマにした漫画「児童福祉司 一貫田逸子」(さかたのり子・穂実あゆこ)の1巻と2巻を一気読みしました。

今話題の「ちいさいひと 青葉児童相談所物語」も児童福祉司の活躍を描いた漫画ですが、虐待シーン等についてはまだ、マイルドだったんですね・・・最後は子供が助かって必ずハッピーエンドでしたし。

「児童福祉司 一貫田逸子」は、最後は必ずしも、ハッピーエンドが待っていません。より、ディープな現実を描いています。

基本、ネタバレ感想なので未読の方はご注意ください。

一貫田逸子の熱意の原動力は?

児童福祉司 一貫田逸子の感想

 

一貫田逸子は「ちいさいひと」の健太に負けず劣らずの、熱血児童福祉司。

時には職務を逸脱してしまうほどの行動力で、上司から怒られてしまうこともしばしば。

靴がボロボロになるまで虐待の疑いがある家庭を毎日訪問し、たとえ不法侵入をしてでも、虐待されている子供の命を救おうとします。

何が一体、彼女をそこまで駆り立てるのか・・・

その熱意の原動力は、子供の頃に虐待されて死んでしまった「小夜ちゃん」の存在があったから。

仲良しだった小夜ちゃんがある日学校に来なくなり、毎日給食のパンを届けに行っていた逸子。

小夜ちゃんは継父の激しい暴力による虐待、そして食事を取り上げられ、餓死してしまったのです。

小夜ちゃんに、パンを食べさせてあげたかった・・・

「パンを届けること」それはすなわち逸子にとって虐待により命を脅かされている子供を救うための「命綱」の象徴であり、大人になって児童福祉司として活動する「原風景」となったのです。

 

生贄にされる子供・・・虐待の通告の重要性

 

この漫画には様々な虐待について描かれていますが、特に印象深かったのは「生贄にされる子供」のケースです。

二人、ないし三人の子供がいて、そのうち「ひとり」の子供に対して行われる虐待。

兄弟間差別、とも言えますが状況はより深刻で、家族間のパワーバランスを取るために一人の子をターゲットにして心理的な虐待を加えます。

イライラしてストレスを抱える母親・・・ほかの兄弟には優しいのに、娘だけに辛くあたり、残飯を食べさせたりといった虐待。

あるいは、兄弟が悪いことをしても「娘が悪いことをした」と娘のせいにして叩いたり、責め立てるのです。そして兄弟たちもその虐待に便乗して、叩きます。やらなければ、つぎにやられるのは自分だから。

読んでいて、本当に胸が痛くなりました・・・

家族の中で一番弱い者を「生贄」にして、「家庭の平穏」を保つのです。

このような心理的虐待を発見するのは難しく、外部の人間からの「通告」がなければ、児童相談所も簡単には動けません。

一貫田逸子は何度も家に通いますが、虐待の決定的な証拠をつかめず、結局、周囲の人の通告がなければ動けないケースです。

子供を虐待から救うために、虐待の通告の重要性を感じさせられたエピソードでした。

 

小夜ちゃんにパンは届いていた・・・感動のラスト

 

「児童福祉司 一貫田逸子」は2巻あるんですが、2巻のラストで小夜ちゃんのお母さんが出てきます。

お母さんは、かつて継父が暴力をふるうのを止めず、小夜ちゃんを見殺しにしてしまった罪悪感から、お隣の家で同様の虐待をされている子供の存在に気づいても、見てみないふりをしていました。

そして、逸子を罪悪感を思い出させる存在として嫌っていたのです。

親から助けてもらえなかった小夜ちゃんは、死に際にたった一度だけ逸子が届けていたパンを受け取っていたことがわかりました。

給食のパンを握りしめて、「逸子・・・ちゃん」と嬉しそうに笑った小夜ちゃんの顔。

母親はそれを思い出して、結局、逸子に虐待の通告をしました。

逸子は一度だけではあるけれども、小夜ちゃんにパンが届いていたんだ・・・と知って涙します。感動の結末でした。

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