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不能犯(漫画)ネタバレ感想 宮月新・神崎裕也

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宮月新/神崎裕也作 漫画「不能犯」は人の心を自在に操って「思い込み」で死なせてしまう殺し屋・宇相吹正の物語です。

犯行を誰も立証できないため、彼は「不能犯」と呼ばれる存在に。そして人々は彼に仕事を依頼し、泥沼にハマっていきます。ネタバレありなのでご注意ください。

「不能犯」ネタバレ

闇金業者変死事件とキャリア女刑事

カフェで起きた闇金業者変死事件を調査する、エリート女刑事の夜目。死んだ木島は黒スーツの不気味な男・宇相吹正と防犯カメラに映し出されており、居場所も判明する。

現場では宇相吹がテーブルの上の糸くずに、アイスティーを垂らしたものが残されていただけで、なんの毒物も検出されなかった。夜目の部下の河津村から報告を受けて宇相吹のもとへ行くが、彼は公園で猫たちに囲まれながら寝ていた。

変死事件のことで問いただすも、宇相吹はどこかつかみどころがなく、目が異常に冷たい。毒物は出てこなかったが、夜目は彼が木島になんらかの手段で死に至らしめたと確信していた。

「思い込み」で死んでしまう!?

そして宇相吹は夜目の手首をぺろりとなめた。すると手首が急激に腫れてしまい、病院で検査をするが唾液以外の何も検出されず、毒物ではない。

なぜそんなことが可能なのか・・・河津村は悩んでいる夜目にある話を聞かせる。戦前に行われたある実験において、被験者の男に「人間は体内の三分の一の血液を失う」と説明したうえで、体が見えない状態で男に腕から大量の血液が失われたと思い込ませる。

実際には何の傷もついていなかったにも関わらず、男はショック状態になって死亡してしまった。

つまり、男は「思い込み」によって自分を死に至らしめたのだ、ということ。宇相吹がやったことも同様で、相手に「毒物を飲まされた」と思い込ませることで本当に死なせたというのである。

不能犯と呼ばれる男

夜目も「毒を盛られた」という思い込みで手首が腫れたのだと・・・。犯罪が実現する可能性が極端に低い容疑者は「不能犯」と呼ばれる。信じられない非科学的な現象を否定しようとするものの、それが本当だとしても法律上ではそのような犯罪を立証することは難しい。

そして、河津村は夜目に過去に彼女が、河津村の息子を誤認逮捕し、息子がいくら無実を訴えても「犯罪者だと思いこんでいたから」断罪し、自死に追い込んだことを思い出させる。

夜目の死と真犯人

夜目にとっても辛い記憶・・・頭がいい人間だと自分では思っていたのに無実の人間を死へ追い込んだ忌まわしい過去が蘇りながら、夜目は宇相吹のもとを訪ねる。

宇相吹は新しい思い込みで塗り替えればいい、といい「貴女は今夜死ぬ」と告げる。まさか、と思っていた夜目はその夜、入浴中に手首がおかしくなり、カミソリで切ってしまう。そして血が抜けていく・・・という「思い込み」によってそのまま絶命する。

宇相吹に夜目の殺害を依頼した真犯人は、河津村だった。夜目のせいで死を選んだ息子のため、復讐したのであった。宇相吹の前で、自分の罪をベラベラとしゃべりまくる河津村。しかし、現実ではたくさんの刑事たちが居並ぶ刑事部屋で・・・

感想・戦慄のサイコサスペンス

善も悪もなく、依頼人の願いにより催眠術的な「思い込み」により殺人依頼を引き受ける宇相吹。彼がもっとも興味があるのは「人間の脆さ」そのものでデータの収集に余念がありません。

また、「殺し屋」と言っても依頼人に対して忠実なわけではなく、たいていの場合、依頼主も不幸のどん底に突き落とされます。

恐ろしいメフィストフェレスのような悪魔的な宇相吹ですが、ただひとり熱血刑事の多田友樹には彼の特殊能力がききません。宇相吹が彼を始末しようと強い催眠をかけてもまるで通じない多田は、自らを正義だと信じて必死に宇相吹を犯人としてあげようとします。

多田は精神科医から宇相吹の力が自分に通用しない理由について、「思考の類似」を挙げて潜在的な思考パターンが似ている相手には催眠が通じにくい、と聞かされます。

それを聞いた多田は「冗談じゃない!」とますます宇相吹を逮捕することが自分の使命であると信じます。今後、それがふたりをどのような関係にしていくかが見どころです。

現在4巻まで出ており、もうすぐ5巻も発売されます。実写映画化も決定しており、2018年公開予定ですから今から漫画でチェックしておくといいですね。ゾクゾクするようなエンタテインメント・サスペンスです。

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