漫画

残酷な神が支配する 萩尾望都 ネタバレ

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萩尾望都作「残酷な神が支配する」は、ジェルミという青年がたどる、絶望に満ちた人生を描いた漫画です。

虐待を取り扱った内容ですが、一線を超えてアブノーマルな世界に入っており、正視に耐えないシーンの連続で、正直なところ読んだあと具合が悪くなりました。

また、「希望」というものがどこにもなく、そこにあるのは「絶望」しかない・・・

ですので、繊細な方はお読みにならないほうがいいと思います。

快活な少年だった主人公・ジェルミ

主人公・ジェルミは、どこにでもいる普通の男の子でした。

母子家庭で育ちましたが、性格は快活でガールフレンドもいます。

少し変わっているところがあるとすれば、母親のことを『サンドラ』と名前で呼ぶこと。

母と息子、二人で寄り添って生きてきたからか、まるでサンドラは息子を夫のように頼っており、ジェルミもまたサンドラを母親というよりは守るべき対象として接します。

そんな穏やかな生活が終わったのは、ある日サンドラが働く店に英国紳士であるグレッグが現れてからです。グレッグはたまたま店を訪れていたジェルミを見かけ、妖しく目を光らせます。

サンドラとグレッグは急速に親しくなっていき、やがてグレッグはサンドラにプロポーズ。泣いて喜ぶサンドラを見て、母親の幸せを願うジェルミは心から「おめでとう」を言いますが・・・

変態紳士・グレッグの野望

グレッグの本当の狙いは『彼』だったのです。

「サンドラを愛している、でも君も愛している!」

と言い出すグレッグに、「クレイジーだ!」と言って逃げ出すジェルミ。

ジェルミがグレッグを拒絶すると、グレッグはサンドラへのプロポーズを取り消す、と脅します。

グレッグを本気で愛しているという母親の嘆きに、ジェルミは・・・自分の身をグレッグに差し出すのです。

サンドラとグレッグは結婚して、ジェルミはボストンを離れてグレッグの屋敷があるロンドンへ共に行きます。

そしてそれは、ジェルミにとって毎夜グレッグになぶられる地獄の日々を意味していたのです。

 

精神的吐き気が止まらない漫画

 

ジェルミの母親への愛を利用して彼をおもちゃにするグレッグは、人面獣心のケダモノであり「人間がどこまで残酷になれるのだろうか」という神の実験、あるいは悪魔の顕在化した姿と言えます。

お金持ちの名家の紳士として完璧にふるまっているグレッグの悪の所業に誰も気づくことはなく・・・あるいは知って知らぬふりをするばかり。

ジェルミが心から愛して守ろうとした母親・サンドラは、実はグレッグがジェルミにしている虐待を知っていました。

彼女は自分の幸せ・・・金持ちの妻としての自分、名家の奥様としての自分を守るために、何も知らぬふりをしながら、我が子をモンスターの生け贄として差し出していたのです。

夜毎、人の皮をかぶった怪物が息子を食らう姿に、母親として何もしなかったサンドラ。

「残酷な神」とは、一体誰のことだったのか

この漫画では、執拗なまでに何度も何度もグレッグがジェルミを精神的、肉体的に屈服させてボロボロにするシーンが入っており、精神的吐き気が止まりませんでした。

と言っても、悪くとらないでほしいのですが、この漫画の完成度が低いという意味ではなく、むしろ高すぎるために確かなリアリティを伴って「悪」そのものの姿が描かれているからです。

読んだあとは、口直しの漫画が必要

巨匠・萩尾望都が描いた真の悪魔と、生け贄の子羊。

読むにはかなりの覚悟がいる漫画であることは、間違いありません。

この漫画を読んだあと、あまりにも気分が悪くて、お口直しの漫画が必要でした。

グレッグが変態を通り越して、もう人間じゃないというか「キモいキモいキモすぎ、今すぐドラゴンボール読んで忘れたい!」と少年ジャンプ系コミックを読み漁りました。

スッキリ勧善懲悪のヒーロー漫画が、これほど恋しくなるとは・・・。

お読みになる方は、お口直し用に100%ハッピーエンドのハーレクインコミックスを10冊程度準備しておくとよろしいと思います。

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