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透明なゆりかご ネタバレ 沖田×華 生命の欠片たち

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漫画「透明なゆりかご」は、沖田×華さんの産婦人科医院での看護師見習い時代の実体験を元に描かれた作品です。

高校3年生だった彼女は産婦人科で、赤ちゃんが生まれるところだけではなく、生まれることがなかった子供の『命だったかけら』を拾い上げる作業をするという、出産にまつわる「光と闇」を経験します。

「おめでとう」と言ってもらえない子供たち

 

沖田×華さんが高校3年生の夏休み、産婦人科で見習い看護師としてアルバイトをしました。

医療行為はできないため裏方の仕事ばかりでしたが、アウス(人工妊娠中絶)の現場に立会い、生まれてくることができなかった赤ちゃん――『命だったかけら』を拾い集めます。

それは小さな容器に収納され、業者に手渡して「火葬」されます。

×華さんはそのとき、「この世に出てきて、『おめでとう』を言ってもらえない子が、こんなにいるなんて思わなかった」と回想しています。

母親以外にその存在を気にかけることもない子供たちに、×華さんはこっそりと外の景色を見せてあげたり、「綺麗な顔をしているね」と話しかけ、お別れするのです。

野良妊婦〜産んで消えた母親

 

駆け込みで産婦人科にやってきて、子供を取り上げてもらったあと、病院から消えてしまった母親。

名前、住所、電話番号もデタラメ。生まれた赤ちゃんは、新生児糖尿病で血糖値が下がるため、常に目が離せない危険な状態。

逃げ出した母親は、男性と一緒にひょっこり現れます。病院でケンカして大騒ぎする二人の様子から、不倫関係だったとわかります。

母親は子供に「健太」と名付けて、この子とふたりで頑張る、と明るく去って行きましたが・・・

現実は厳しく、添い寝中の事故で健太くんは亡くなってしまったのです。

病院では看護師たちが「虐待かもね」とうわさ話をしていましたが、×華さんにはそう思えず、お母さんの愛情に包まれながら亡くなったのだ、と信じていました。

淡々と語られるのに心に染みる物語

語り手である×華さんの目線で、産婦人科で起こる出来事が物語として淡々と進んでいきます。

そこには不自然な感情が、まったくと言っていいほどありません。盛り上げるための感動話でもなければ、泣かせようとする辛い話でもない。ただひたすら、現実に起こっている生と死の物語を×華さんと一緒に体験し、心に染みていくのです。

また、×華さんの友達であるカナちゃんの身の上に起こった悲しい出来事は、私情を持ち込んではいけない看護師としてプロに徹するようにしていましたが、×華さん自身もカナちゃんと似たような過去があり、その経験からカナちゃんを救うきっかけをつくれました。

母性とはなんだろう? と、×華さんは妊婦の死産と出産に立ち会って深く考え、「自分以外の人間と互いに喜びや愛を与えあうこと」だと気づきます。

赤ちゃんが生まれる喜びが光であるとすれば、その陰で消えていく命を見守ることが闇なのか。

生まれてくることは、あらゆる奇跡のうえに成り立っているんだ、と感じられる漫画でした。

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